人と話すと信じられないほど疲れてしまったり、人との会話中にどう返していいか分からなかったりした経験はありませんか?
本人はただ疲れたと思っているだけでも、その背景にASD(自閉スペクトラム症)の可能性や傾向、そしてMBTIの「内向(I)」が重なっていることもあります。
この記事では「ASDにはMBTIの内向型が多いのか?」を徹底分析しました。
ASDもMBTIの内向型も、決して自分や他人が責めるべきものではありません。
そのような傾向をご自身で感じることがあれば、ぜひ自分を知るためのヒントとして読んでみてください。

ASD傾向はMBTI内向型に多いのか?

ASD(自閉スペクトラム症)には、コミュニケーションの難しさや感覚過敏、こだわりの強さ、パターン認識の高まりなどの特徴があります。
参考:JSTAGE+1
一方、MBTIの内向型(I)は「外部の刺激でエネルギーを消耗しやすい」「1人で内省する時間を好む」という傾向があります。
つまり、ASD傾向のある人とI(内向型)では、刺激に敏感だったりコミュニケーションが苦手だったりする特徴が合致しやすいのです。
実際、公式資料でも「ASDと診断・その傾向を感じた人にはI(内向型)の傾向が見られやすい」と記録があります。
ただし、I(内向型)=ASDという極端な結びつけはできません。
あくまで、傾向が重なる可能性があるという解釈をすることが必要です。

ASDの特徴を見てみても、明らかにEよりIのほうが当てはまりますよね
刺激に弱い点が似ている
ASD傾向のある人とMBTIのI(内向型)は、刺激に弱いという点が似ています。
ASDの特性の中には、音や光、また人とのやりとりなど「外部からくる刺激」で疲れやすいというものがあります。
それが理由で、ASDやその傾向を持つ人は、1人の時間を必要とすることが多くなるのです。
一方、I(内向型)の人もまた、自分1人の時間を必要とします。
同じように、他者との過剰なコミュニケーションなど外部刺激がストレスになりやすく、すぐに疲れて1人になりたがる傾向があるのですね。

ただし、ASDは発達障害の一種なので、コミュニケーションが苦手だったり刺激に敏感だったりするのは、あくまで脳機能の障害によるものです。
一方I(内向型)というだけであれば、単なる性格の違いであり、それは障害ではありません。
そのため、この2つを直接結び付ける極端な考え方は、いらぬ誤解を招くでしょう。
内的な考え方が似ている
ASD傾向のある人は、ルールやパターン、手順といった「見える秩序」を好み、忠実に従おうとします。
たとえば、テレビのリモコンやスマホを置く場所をきっちり決め、それがミリ単位でもズレていると違和感を感じることがあります。
また、予定していたスケジュールが変更になり、別の行動をしなければならないとき、パニックを起こすこともあります。
変化や曖昧さにストレスを感じやすいのが、ASDの特性の1つです。
そしてI(内向型)もまた、自分のペースや内的構造を整えたいという性質があります。
このため、ルールが曖昧だと落ち着かなかったり、言われたことをちゃんとやりたいという感覚あったりします。
それらの性質が一致しやすく、ASDとI(内向型)は似ていると言われやすいのですね。
すぐ帰りたくなる点が似ている
ASD傾向があると、コミュニケーションが苦手なことが多くあります。
そのため、不特定多数の人が集まる場面でどう振る舞えばいいか分からなかったり、その時間が終わるとぐったりしてしまったりするでしょう。
同じようにI(内向型)も、コミュニケーションを強要される場面でエネルギーを消耗しやすいタイプ。
そのあと1人で過ごす時間を、回復に使う傾向があります。
そんなASDとI(内向型)の要素が重なると
という葛藤が日常化しやすく、自分を責めてしまったり、自分が変なのかもしれないという思いにつながったりすることがあります。
ASDが多いのはどのMBTIタイプ?

まず、ASDが多いといわれるMBTIには、厳密な研究データが少ないため断言できないことを前置きします。
「このタイプがASDになりやすい」とは言い切れないものの、傾向としては以下の3つが有力と言われています。
- 内向(I)
- 直観(N)
- 判断(J)
上記が重なるタイプが、ASDに多いといわれやすいという報告があります。
公式資料では「ASD傾向を持つ人にはEよりI型の割合が高かった」と明記されています。
具体的には、INTJ・INFJ・INFP・INTPなどが、SNS上で「ASDっぽい」として挙げられることが多いようです。
いずれもI(内向型)とN(直観型)が共通していますね。
ただし、これらの検証がすべてというわけではありません。
具体的に、ASD傾向がある人に多いとされるMBTIと、その特徴を見てみましょう。
【INTP・INTJ】分析・内省・パターン思考
まず、ASD傾向がある人がいると考えられるのは、INTPとINTJです。
これら2つのMBTIは、論理や構造、パターン認識に関心が高く、自分の中だけで完結する行動が多いタイプ。
ASD傾向がある人の、人と違う視点や強いこだわり、また言語化しにくい内的知覚と、重なりやすいと感じる人も多いようです。
【INFJ・INFP】感受性・理想・内向世界
次に、INFJとINFPです。
これらのMBTIは、自分や他者の感情、独自の価値観や意味を軸に、世界をとらえるタイプ。
N(直観型)をもつI(内向型)であり、感情に敏感である一方、自分の内部にこもりやすいという傾向があります。
ASD傾向でいうと、過度なコミュニケーションでエネルギーを失う特徴や、1人の時間で回復したいという構造と、親和性がありますね。
【ISTJ・ISFJ】手順・秩序・静かな場面
続いて、ISTJとISFJです。
これらのMBTIは、S(感覚型)とJ(判断型)の特徴を持っており、現実的なやり方や手順、秩序を重んじるタイプ。
ASD傾向のある人にみられる、予定変更に対して見せる苦手意識や、誰にも邪魔されない環境を好むという共通点があります。
これらのように、SとJがつく組み合わせは「番人タイプ」に分類されます。
\ 番人タイプについてはこちら /

番人タイプには、ほかにESFJとESTJがいますが、これらは基本的にE(外向型)でコミュニケーションが得意なタイプなので、ASD傾向とは異なるでしょう。
I(内向型)・S(感覚型)・J(判断型)という構成が、安心できる構造として機能しやすいこともあります。
「自分はASDかも」と思ったら意識したいこと

MBTIは手軽に診断できますが、ASDというのは発達障害のため、医療機関で正確な検査をする必要があります。
しかし、ご自身で「自分はASDかも」「ASDの傾向がありそう」と感じることがあるかもしれません。
そのとき陥りやすいのは「自分って変なのかな」と自己否定をしてしまうことです。
仮にASDであっても、MBTIの中でどのタイプであっても、あなたが否定される理由にはなりませんし、あなたにはあなただけの強みがあります。
ここでは、ご自身にASDの傾向を感じたときに意識したいポイントを解説します。
性格傾向を理解するツールとして使う
MBTIは、人々を完全にタイプ分けすることを目的としているものではなく、性格傾向を把握するためのもの。
一方のASDは、医師の診断を伴う「医学的カテゴリー」であり、MBTIが判明しただけで「ASDだ」と判断することはできません。
MBTI診断から始める場合は、まず自分がどんな刺激で疲れるのか、逆にどんな環境が心地いいのかを知ることから始めましょう。
そして、MBTIを知っても生きづらさが続いたり、性格傾向を超えたものであると判断した場合には、医療機関でASDなどの検査を受けることも検討してみてくださいね。
環境や習慣を整える
もし、人との会話で疲れてしまったり、急な予定変更がしんどいと感じたりするなら、それはMBTIのせいでもASD傾向のせいでもないでしょう。
MBTIやASD傾向のせいにしてしまうと、そのように感じる自分のことをネガティブにとらえてしまいます。
しかし、コミュニケーションで疲れることも急な変更を嫌うことも、人としての欠点ではありません。
そのような性格であることが不自由を生むとしても「自分の欠点だ」「だからダメなんだ」などと思わないようにしましょう。
そうではなく、まず自分のペースで動ける環境や、静かに過ごせる時間を確保することが先決です。
あなたの人生なんですから、あなたが快適に過ごせるよう設計しなければなりません。
「自分はダメだ」と決定づけるのではなく、あなた自身が快適に過ごせるルールを作ることが大切ですよ。
専門家の相談を検討するのはいつ?
MBTIやASD傾向を知ることで、自己理解が深まるのは素晴らしいことです。
しかし、もし日常生活に支障が出ているのであれば、専門家の相談も視野に入れましょう。
性格傾向を知るだけのMBTI診断や、ネットに転がっている情報だけでは、十分な判断材料になりません。
安心できるプロのサポートを得ることも、自分を大切にする行動の1つですよ。
ASD傾向×MBTI特性を強みに変えるために

ASD傾向とMBTIの特性により生きづらさを感じている場合、ゆっくりと自分らしいリズムを整える時間が必要です。
それらを強みに変えていくための、実践ヒントをご紹介します。
自分のリズムを見える化する
I(内向型)の人は、1人の静かな時間をエネルギー源としますが、そこにASD傾向が重なることで「自分だけ置いて行かれる」ような不安も感じやすいものです。
そこで、まず1日の中で自分が落ち着く時間を振り返ってみましょう。
そして、その時間をカレンダーやメモに記録してみてください。
そうすることで「16:00〜17:00が回復しやすい時間」などと、自分のリズムが見える化しやすくなります。
そして、自分の心を守るための行動やスケジュールを組み込みやすくなるでしょう。

回復しやすい時間に目途がつけば、その時間には予定を入れないようにしたり、仮眠時間をとったりすることもできますね!
日常生活をパターン化する
ASD傾向を持つ人は、ものごとの構造や手順、予測のしやすさが安心感につながりやすいタイプ。
そこで、仕事や趣味などの日常生活において「この作業はこの順番でやる」「毎回3ステップで終わらせる」といった、自分だけの小さなルーティンを作ってみてください。
自分だけが守れる小さなルールを作っておくことで、予期せぬ変更に対する不安を減らし、成功体験を増やせるでしょう。
1人時間を充電時間だととらえる
ASD傾向のある人、そしてMBTIがI(内向型)の人は、派手な社交の場が苦手。
その時間が終わると、心の静養が必須です。
休む時間を「怠けている」と捉えるのではなく、回復して次へ動くための準備と考えましょう。
たとえば、スマホから距離を置いたり、静かな場所で趣味を楽しんだりすることで、じっくりと自分の疲れやストレスと向き合って、リラックスした時間を過ごせるでしょう。
まとめ
ASD傾向が内向型(I)と重なりやすいというのは、あくまで傾向のひとつに過ぎません。
大切なのは、自分がどんな刺激で疲れるか、どんな環境で安心できるかというリズムを知ること。
MBTI診断というのは、そのヒントを与えてくれるツールです。
自分を責めるのではなく「自分にはこういうリズムが合うんだ」と受け入れて、あなたにしかない強みを育てていきましょう。















