MBTI診断と発達障害は関係あるのでしょうか?
結論からいうと、MBTI診断によって「発達障害があるかどうか」は診断することができず、直接的な関係性はありません。
しかし、中には「発達障害の人が多いMBTI」「MBTIの中に発達障害に当てはまる特徴がある」という意見があります。
MBTIは性格を16タイプに分ける診断方法のため、中には発達障害の特性に該当する特徴があるかもしれません。
この記事では「MBTIと発達障害は直接的な関係はない」ということを前提にして、実際に発達障害をもつ人たちにMBTIを聞きながら、インタビューをしてみました。

実は私たちのメディア事業部では、発達障害に特化したメディアも運営しています。
今日はそちらのチームからメンバーを招集し、話を聞いてみました!

発達障害をもつ人にMBTIを聞いてみた

発達障害をもつ人はどのようなMBTIで、またどのような職業に就き、生活しているのでしょうか?
現代、発達障害は広いグラデーションになってきており、定型発達をしている人とさほど変わらない状態であるケースも多くあります。
そのため、意外にも「発達障害だとは思わなかった人がそうだった」ということが、よく起こりますよね。
しかし掘り下げてみると、発達障害をもつ人たちはそれぞれに生きづらさや困りごとを抱えていました。
発達障害の特性が、どのようにMBTIの結果にリンクしているのか見てみましょう。
1人目:INFP男性

1人目は、INFPのリョウタさん(仮名)です。
弊社のメディア事業部では、主にウェブサイトの保守を担当しているリョウタさん。

実はリョウタさんは、発達障害の特性が原因で就職活動がうまくいかず、知り合いを介してうちに加入してくれることになったんです
そんなリョウタさんのMBTIは、INFPです。
昔から人との会話やコミュニケーションが苦手で、口数が少なかったというリョウタさん。
現在は1人暮らしをしていますが、インテリアや食生活にこだわりがあり、人を招き入れるのも苦手なのだとか。

誰かが遊びに来て、部屋のものを触られたりするのが嫌で…
実は同棲をしていたことがあるんですが、自分のこだわりが強すぎて長く続きませんでした
INFPは【P】知覚型のため、ある程度臨機応変に対応しやすい性格タイプといわれています。
しかし【I】内向型であることが、人との距離を縮められない理由になっているかもしれませんね。

聞いたところ、幼少期は授業についていけないこともあったとか。
でも現在プログラマーになっているんですから、すごいですよね!

興味のあること以外はまったく集中できなくて…
プログラミングは小学生の頃から習っていて、趣味が「ゲーム制作」なんです。
子どもの頃から、コンピューター系は唯一没頭できる勉強でした
INFPの内向的な性格は、ASD特有の「コミュニケーションが苦手」「1人で過ごすことを好む」という特性に当てはまっていますね。
ASDは自閉スペクトラム症といって、コミュニケーション力に課題がある発達障害として知られています
さらにASDの「興味のあることに没頭しやすい」という特性も相まって、リョウタさんはプログラミングの知識をメキメキつけてきました。
唯一没頭できたという勉強「プログラミング」を極めて、現在は仕事にしているリョウタさん。
どのようなきっかけで、発達障害が発覚したのでしょうか?

大学のとき、初めて彼女ができました。
でもうまくいかなくて、もしかして自分の性格が原因なんじゃないかと思って…
クリニックで検査してもらったところ、ASDであることが発覚しました
そんなリョウタさんが、自分がINFPであると実感するのは、次の特徴があるからだそうです。
【I】内向型
人と話すのが苦手で、人と過ごしたあとはどっと疲れてしまう
話が盛り上がらない
【N】直観型
未来のことを考えやすい
現実よりも理想を考えてしまう
【F】感情型
人からの批判に敏感
人からどう思われているか気になってさらに内向的になってしまう
【P】知覚型
規律に従うのが苦手で会社勤めに向かない
いつでも自分の好きなように生きたいと思っている
INFPのビジョン型思考やマイペースな性格が、プログラマーとして成功する秘訣になったようです。
しかし、同時に生きづらさや悩みを抱えることになったため、表裏一体という感じでしょうか。

コミュニケーション(特に友人や恋人関係)では課題が多いですが、幸い仕事が充実しているので毎日のびのび楽しいです

自分が幸せに生きられるのが一番ですね。
INFPそしてASDの特性が活かされていて、リョウタさんらしくて素敵です!
2人目:ENFP女性

2人目は、ENFPのSaeさん(仮名)です。

こんにちは、Saeです!
こうやってインタビューとかされるの初めてで、ちょっと緊張する!笑

Saeさんはメディア事業部の広報担当!
Saeさんのおかげで、いろんなメディアに「MBTI♡MASTER」を知ってもらえています
SaeさんのMBTIは、ENFP(広報運動家)です。
明るく社交的で、誰とでも仲良くなれるSaeさんは、メディア事業部の広報以外にカフェの店員としても働いています。
人と接する仕事が大好きで、職場仲間ともお客さんとも仲良しなのだとか!
そんなSaeさんですが、実は社会に出たばかりの頃は挫折続きで、発達障害の特性に悩まされていたそうです。

美容系の専門学校を出て就職したんですけど、好きな仕事のはずなのに全然うまくいかなくて。
心がすり減っちゃって、心療内科を受診してみることにしたんです
なぜ生きづらいのか、自分の何がいけないのか、ENFPでポジティブ思考だったはずのSaeさんもどんどん心を閉ざすように。
そんな中、心療内科でウェイス(WAIS)という知能検査を受ける機会がありました。
ウェイス(WAIS)とは、ウェクスラー式知能検査に基づいた知能検査です。
成人の知能の全体像を測るためのもので、発達障害、知的能力の評価、就労支援などに用いられます。
ウェイスを受けて、自分の苦手分野を客観視できるようになったというSaeさん。
さらに、自己記入式のチェックリストを実施すると、医師から「ADHDの傾向が強いかもしれない」と告げられ、納得したそうです。

自分の苦手分野と診断結果が一致していたので納得したけれど、最初はADHDといわれてさすがにショックでした
ADHDは正式名称を注意欠如多動症といい「落ち着きがない」「注意散漫」という困りごとを抱える発達障害の一種です。
これまで「普通」だと思って生きてきた人が突然発達障害だと告げられたら、誰しも衝撃を受けることでしょう。
しかし、Saeさんがその後すんなり受け入れられたのは、ENFP気質だったからではないかと考えているそうです。

ADHDだって知ってショックだったけど、じゃあどうやったら楽しく生きていけるかな?って考えたとき、ADHDだっていう事実も全部自分の個性にしちゃおうと思いました

すごい!なかなかできることではないですよ。
具体的にどんな部分を「個性」として誇るようになりましたか?

ENFP=ADHDってわけではないけど、ENFPの性格ってADHDに当てはまる部分が多いなって気づいたんです。
たとえば人を笑わせることに本気になったり、変わり者だねって言われて喜んだり。
それがADHDの気質なら、なんか人と違ってクールじゃないですか?
Saeさんは自分のADHD特性を、ENFPの性格的特徴と絡めて「個性」「自慢できること」に替えてしまったのですね!
ENFPの柔軟さや明るさ、自分の物語を自分で書き換える器用さが、発達障害というバリアに負けないポジティブさを放っていました。
3人目:ISTP男性

3人目は、ISTPのユウマさん(仮名)です。
ISTPは別名「巨匠」と呼ばれ、マイペースで堅物な職人気質の性格で知られています。
ユウマさんはまさに巨匠のような人物で、イラストレーターというクリエイティブな仕事をしている上に、その腕前には定評があります。

うちでは、別メディアのアイコン画像を作る仕事をしてもらっています!
ユウマさんのイラストは、見る人の目を奪うインパクトと、ユウマさんの優しさがにじみ出たタッチが素敵で、完成度も抜群。

ISTPは自分のペースで仕事に一転集中するからね
しかし、そんなユウマさんはADHDとASDの混合型という発達障害を持っています。
ADHDとASDは、ユウマさんのように併存して出現することの多い組み合わせ。
おおかみこころのクリニックの調査によると、発達障害のある成人(20〜70歳)838名のうち26.8%がADHDとASDを併発すると発表されています。
では、ユウマさんの日常生活や困りごとについて見てみましょう。

最近の悩みは、ISTPのマイペースさとASDのこだわり、そしてADHDの不注意な特性が合わさって、いつも作業が進まず締切ギリギリになってしまうことです
腕前は確かであるにもかかわらず、締切ギリギリになることでクライアントから注意されることもあるというユウマさん。
同じ理由で、一般企業に勤めたときにもうまくいかなかったそうです。

会社で求められる常識やマナーに適応できず、苦しくなるばかり。
「自分は何かおかしいのではないか」と思って心療内科を受診しました
そこで、以下の検査を受けたそうです。

たくさんの検査を受けたんですね!

これだけ多くの検査を受けたからこそ、ADHDとASDの混合型という詳細な特性まで判明したのかもしれません
それぞれどのような検査だったのか見てみましょう。
項目 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
問診 | 生育歴や学生時代の様子などを医師が聞き取る | 全体的な発達の流れや困りごとの背景を把握する |
WAIS | 知能検査(IQの構成要素を測定) | 得意・不得意の差(凹凸)から発達特性を確認 |
ADOS-2 | 行動観察による評価 | ASD(自閉スペクトラム症)の傾向を客観的に見る |
CAARS | ADHDの自己評価・他者評価 | 注意力や多動・衝動性の傾向を数値化する |
AQ | 自閉傾向の簡易チェック | ASD傾向の有無をスクリーニングするための参考 |
ADHDとASDの混合型であることで、一般社会や企業で生きづらさを感じてきたユウマさん。
しかし、もともと趣味だったイラストを描くことを仕事にして、自分にとって働きやすいワークスタイルに出会うことができたそうです。

ISTPも会社員に向かない性質があるそうなので、総合的に自分にはフリーランスが合ってるんだなって思います
ユウマさんが自分をISTPだと感じるのは、以下のポイントだそうです。
【I】内向型
コミュニケーションが苦手
「報連相」ができない
【S】感覚型
作業に没頭するのが好き
手先が器用である
【T】思考型
人のアドバイスを聞くより効率的な方法を優先する
人と協力するのが苦手である
【P】知覚型
マイペースで人に合わせられない
コミュニケーションがストレスに感じる

ISTPもADHDもASDも個性だし、結果ユウマさんはプロのイラストレーターとして成功しているんだから、素晴らしいですよね
4人目:INFJ女性

4人目は、INFJのミツキさん(仮名)です。

こんにちは。
スミさんのもとでリサーチ業務を担当しています、ミツキと申します
ミツキさんはASDと診断されていて、幼少期から困りごとが多くつらい経験をしてきたそうです。

私はASD傾向が強くて、子どもの頃からパニックや癇癪を起こすことが多かったそうです

ASD傾向が強いと、環境の変化や予定変更でパニックを起こすことがあるそうですね
「自分はまわりと違う」と感じていたのは、子どもの頃からだったそう。

INFJは洞察力に優れているから、周囲が自分をどう思っているのか察するのが得意。
それは時に心を病むきっかけにもなるから、辛かったと思う…
ミツキさんは小さな頃から「変わっている」「ズレている」とされることが多く、孤立することもあったそうです。
しかし、完全に浮いていたわけではなく、INFJらしい優しさや思いやりを持ち合わせていました。
そのため、数人は仲の良いお友達もいたそうです。

友達はいたんですが、変に気を遣いすぎて常に窮屈で苦しい思いをしていた記憶があります。
友達の表情だけで何を考えているのか推測できちゃったり、友達が悲しんでいると私まで泣けてきちゃったり…

でも、ASD(自閉スペクトラム症)って「他人に興味が持てない」という特性がありましたよね?

そうなんです。
だから、検査を受けてASDという結果が出たときは「嘘でしょ?」と思いました
ミツキさんはASDが強い発達障害をもっていますが、同時にINFJという洞察力の高さを持ち合わせる特性があります。
一見対照的な2つですが、ミツキさんの担当医によると、こういうことだそうです。

なるほど。ASDだから人の気持ちを察するのが苦手だったけど、INFJの優しさを持っていたミツキさんは、一生懸命理解しようと頑張りすぎていたんだね
ASDの「他人の感情を読み取るのが苦手」という特性と、INFJの完璧主義や優しさが、ミツキさんの中で対立を起こし、心を病む要因になっていました。
今ミツキさんは図書館の司書として働いており、利用者からは「きめ細やかな対応」「人当たりの良さ」で評判が良いそうです。

図書館なので、利用者の目的は「本を探していること」がほとんどです。
そのため、自分の洞察力が正しいかどうかビクビクすることなく、自信を持って「何の本をお探しですか?」と声をかけられるようになりました
ミツキさんはINFJなので基本的には内向的ですが【F】感情型や【J】判断型という要素が強く出て、図書館の利用者に対しては積極的に話しかけるそうですよ。
5人目:ESTP男性

5人目は、ESTPのりっくんさん(仮名)です。

こんにちは!
調理系の専門学校に通っています、りっくんです。
将来は自分だけのキッチンカーで全国を回るのが夢です!
インタビュー序盤から、明るくエネルギッシュな人柄が伝わってくるりっくんさん。
りっくんさんはADHDを持っていますが、診断されたのはなんと小学生の頃だったそうです。

小学校に入ってすぐ、落ち着きのなさや衝動性を注意されたみたいです。
で、小児科でいろんな発達検査を受けて、ADHDだってことが分かりました
りっくんさんは当時小学生だったので、詳しい検査内容を覚えていないそうですが、お母さまに伺ってもらったところ、以下の検査内容だったそうです。
WISCを受けた結果、りっくんさんには以下のような結果が出ました。
これらのことから、りっくんさんにはADHDの傾向が強いという結果が出ました。

りっくんさんはADHDと診断され、周囲とうまくいかない葛藤もあったそうですが、とても明るくてポジティブな性格が素敵ですね!

そう!そこが僕のESTPらしさだと思います。
ぶっちゃけ、ADHDとESTPって似てるところが多いなと思っていて、少なくとも僕の人生においてはプラスになってますよ
りっくんさんがご自身をESTPらしいと感じるところは、以下のような点だそうです。
りっくんさんは、ESTPらしい抜群の行動力を持っています。
これはADHDの「多動性」「衝動性」に通ずるものがあり、頭で考えるよりも先に身体が動いてしまう特性といっても良いでしょう。
しかし、りっくんは持ち前の行動力で、これまでさまざまなことを成し遂げてきました。

学生時代には運動会や文化祭でパパッとクラスをまとめたり、興味だけで料理の世界に飛び込んでみたり、今の自分につながるいろんなことを、自慢の行動力で乗り越えてきたと思います
ADHDを抱えながらも、自尊心を失うことなくやりたいことにまっすぐ取り組んできたりっくんさん。
ADHDの特性として、幼少期は「困った子」といわれてきたそうですが、それがESTPという最強の人格になり、今キッチンカーで全国を回るという大きな夢を抱える青年に成長したのですね!
発達障害だと思われやすいMBTIは?

冒頭で解説したように、MBTIと発達障害に因果関係はありません。
しかし、発達障害の一部特性とMBTIの性格的特徴が偶然合致するケースがあります。
その場合、一部のMBTIが「発達障害っぽい」と思われることがあるようです。
それでは、発達障害だと思われやすいMBTIを一覧表にしてみましょう。
MBTIタイプ | 誤解されやすい発達障害 | 誤解されやすい理由 |
---|---|---|
INTP / INFP / INFJ | ASD(自閉スペクトラム症) | マイペースで内向的・空想的、感情や関心を表に出さないため「人に興味がない」と見られやすい |
ISTP / ISTJ | ASD | 感情をあまり表に出さず、ルールや効率にこだわる傾向から「共感性が乏しい」と誤解されがち |
ENFP / ESTP / ESFP | ADHD(注意欠如・多動症) | 衝動的・エネルギッシュ・話が飛ぶ・飽きっぽいという性格がADHDの多動性や注意散漫に似て見える |
ENTP | ADHD・ASD両方 | 話が飛びがち・突拍子のない発想・こだわりの強さなどが、両方の特性と重なる場面がある |
なお、上記の表はあくまで「発達障害のように見える場合がある」と仮定したものであり、発達障害のある人が特定のMBTIタイプに偏るという科学的根拠はありません。
MBTIの要素でまとめてみましょう。
上記のように「見られる」傾向があるようです。
MBTI的な傾向 | 解説 |
---|---|
内向型(I) | 社会的な刺激への過敏さ、ひとり時間の好み |
外向型(E) | エネルギッシュで刺激を求める傾向 |
直観型(N) | 独自の世界観や空想・こだわりの強さ |
思考型(T) | 感情よりも論理で判断しがち、共感の表出が苦手 |
感情型(F) | 感情で動きやすい |
知覚型(P) | 計画よりも柔軟さ優先、締切が苦手 |
これらの要素が強く出すぎた場合、発達障害の特性と類似して表出されることがあるかもしれません。
まとめ
MBTIと発達障害の関係性について、また実際に発達障害をもつ人のMBTIについてご紹介しました。
MBTIは性格診断であり、発達障害は脳機能の障害であるため、2つに因果関係はありません。
しかし、一部の特徴がそれぞれ類似するケースもみられ、発達障害ではないのにそうみられたり、診断されたりすることがあるようです。
MBTIの各タイプにも「生きづらさ」「社会に適合できない場面」があるように、発達障害もまた生きづらさや困難を抱えることがあります。
すべてが尊重されたり、サポートし合ったりして、すべての人がもう少しだけ生きやすい世の中になったら良いですよね。
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